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バスルームで飼う人魚

09.ningyo-full
昨日、夜釣りの最中に嫌に重たいものがかかった。
いつもの私なら躊躇わず糸を切るだろう。
とんでもないものを釣り上げてしまった人の話はよく聞く。
しかし、いつもよりずっと高いその糸が惜しかったためか、
まさか自分はそんなものを吊るはずが無いという自信のためか、
もしくはそのとんでもないものを一度は見てみたいと言う好奇心のためか・・・
私はそのまま力を入れた。
はじめに見えたのは
髪。
ああ、やっぱり・・・
ここまで見てしまったのだから、最後まで。
ずる・・・と音をたてて陸に上がったそれを見て、私は息を飲んだ。
それはまさしく人魚であった。
冷たい汗が背中に流れるのを感じた。

その人魚は今私の家のバスルームにいる。